
シリーズ: Claudeで変わる仕事術 中級・第1弾 / 前回:番外編 「うまく使えない」の正体——AI選びとイメージの伝え方
初級編では、Claudeを使って仕事を前に進める感覚をつかんだ。 Chatで考えてもらう。 Coworkで作業してもらう。 Claude Codeでファイルを作る。 MCPで外部ツールとつなぐ。 最後は、提案書もExcelも英語資料もまとめて片付けた。
ここまで来ると、次に出てくる悩みはこれだ。
「毎回、同じ説明をしている気がする」
たとえば、記事をレビューしてもらうたびに、
- 読者はAI初心者
- 文章はやさしく
- 専門用語はかみ砕く
- 煽りすぎない
- 最後は実務に戻す
と説明する。
週報を作るときも、議事録をまとめるときも、提案書を直すときも同じ。
「前にも言ったよね」と思いながら、また同じ条件を書く。
中級編は、ここから始める。
うまく頼むだけではなく、うまくいった頼み方を"仕事の型"として残す。
そのための道具が、SKILLSだ。
1. SKILLとは何か
初級編は、Claudeに「やってもらう」シリーズだった。
中級編は、Claudeが動きやすい「仕組みを作る」シリーズにする。
| 初級編 | 中級編 |
|---|---|
| その場で頼む | 毎回使える型にする |
| できることを増やす | 再現性を上げる |
| AIに作業してもらう | AIが迷わない環境を作る |
| 便利さを体感する | 仕事に定着させる |

Skillとは、Claudeに渡す「仕事の手順書」だ。
ただのプロンプトではない。 毎回の作業で使う前提、流れ、チェック観点、出力形式をまとめたもの。
人間で言えば、
「この仕事は、うちではこう進めてください」
と書いた業務マニュアルに近い。
2. Prompt・CLAUDE.md・Skillの違い
ここは最初に整理しておきたい。
| 種類 | 役割 | 向いているもの |
|---|---|---|
| Prompt | その場の依頼 | 今回だけの作業、単発の相談 |
| CLAUDE.md | プロジェクト全体の前提 | 毎回守ってほしいルール、技術、方針 |
| Skill | 繰り返す仕事の手順 | 議事録、週報、記事レビュー、調査、資料作成 |
それぞれ、AIが読むタイミングも違う。
| 種類 | 読むタイミング | 読み方 |
|---|---|---|
| Prompt | 送信のたびに | 全文・毎回 |
| CLAUDE.md | プロジェクト起動時(毎回) | 全文・毎回、常にコンテキストに入る |
| Skill | 呼ばれたときだけ | descriptionのみ→本文→参考資料の段階読み |

PromptとCLAUDE.mdは、Claudeが必ず全文読む。 だから、長くなりすぎるとコンテキストを圧迫する。 特にCLAUDE.mdは毎回読まれるので、書きすぎに注意が必要だ。
Skillだけが必要なときだけ、必要な分だけ読む仕組みになっている。 だから、いくつ登録してもClaudeが重くならない。
もう少し日常の言葉にすると、こうだ。
Promptは「今日これをやって」。
CLAUDE.mdは「この職場では、基本的にこう働いて」。
Skillは「この種類の仕事は、この手順で進めて」。
たとえば、FamilyAIの記事をレビューしてもらう場合。
単発なら、Promptでいい。
この記事を読んで、AI初心者の読者に伝わりにくい部分を指摘してください。
でも、毎週記事を書くなら、それだけでは足りない。
毎回、読者像、文体、避けたい表現、見出しの粒度、レビュー観点を説明することになる。
それなら、記事レビュー用のSkillにしておく。
FamilyAIの記事レビューでは、以下を確認する。
- 読者はAI初心者の子育て中の親
- 専門用語はかみ砕く
- 便利さだけでなく、仕事や生活でどう使うかに戻す
- 煽りすぎた表現は弱める
- 最後に「今日から試せる一歩」を入れる
こうしておけば、次からは、
この記事をFamilyAI記事レビューのSkillで見て。
に近い頼み方で済む。
毎回の説明が減る。 しかも、仕上がりのブレも減る。
3. Skillに向いている仕事と、最初の3つ
何でもSkillにすればいいわけではない。
Skillに向いているのは、次のような仕事だ。
| 向いている仕事 | 理由 |
|---|---|
| 毎週・毎月くり返す | 手順を固定する効果が大きい |
| 出力形式が決まっている | 毎回同じ形で作れる |
| チェック観点が決まっている | レビュー品質が安定する |
| 自分なりのこだわりがある | Claudeに毎回説明しなくて済む |
| 複数ステップがある | 手順書にすると迷いにくい |
逆に、Skillにしなくていい仕事もある。
| 向いていない仕事 | 理由 |
|---|---|
| 一度しかやらない作業 | Promptで十分 |
| まだ手順が固まっていない作業 | 先に何度か試した方がいい |
| 毎回条件が大きく変わる作業 | 型にしにくい |

3回同じ説明をしたら、Skill化を考える。
1回目はPromptで試す。 2回目で条件を整える。 3回目で「これは型にできる」と判断する。
このくらいの軽さでいい。
最初に作るSkillは、この3つがおすすめだ。
① 議事録整理Skill
会議メモを入れると、決定事項・未決事項・担当者・アクション・期限に整理してくれるSkill。効果が分かりやすく、会議のたびに使える。
② 週報作成Skill
今週やったことを箇条書きで渡すと、成果・進行中・困っていること・来週やることに整えてくれるSkill。上司向け、チーム向け、自分用でトーンを変えてもいい。
③ 記事レビューSkill
下書きを渡すと、読者への伝わり方・見出し・具体例・表現・行動につながるかを確認してくれるSkill。継続的に発信する人には特に向いている。
今回のハンズオンでは、この「記事レビューSkill」を例にする。
4. 🛠️ 記事レビューSkillを作る
Skillの置き場所
まず、どこに置くかを決める。
| 使い方 | 置き場所 |
|---|---|
| どのプロジェクトでも使いたい(Global) | ~/.claude/skills/ |
| 特定のプロジェクトだけで使いたい(Project) | プロジェクト直下/.claude/skills/ |
Globalに入れすぎないことが大事だ。
GlobalのSkillは起動時にすべてのdescriptionが読まれる。
数が増えると、似た用途のSkillが競合して誤起動しやすくなる。
自分でも何があるか分からなくなる。
実用的な目安は、Globalは5〜10個まで。
迷ったらProjectに置く。「これは確実にどこでも使う」と確認できてからGlobalへ移す。
Claude Codeへの頼み方
Claude Codeに、まずこう頼む。
FamilyAIの記事レビュー用のSkillを作りたいです。
目的:
- AI初心者向けの記事を、読みやすく実務に役立つ形に整える
読者:
- AI初心者
- 子育て中の親
- 副業や起業に興味がある人
レビュー観点:
- 専門用語が難しすぎないか
- 具体例があるか
- 読者が今日から試せる行動につながるか
- 煽りすぎた表現になっていないか
- AIっぽい言い回しが残っていないか
出力形式:
- 良い点
- 直した方がいい点
- 見出しごとの改善案
- 最後に、修正版の導入文を1案
この内容をもとに、Claude Codeで使えるSkillの設計案を作ってください。
ここで見るべきなのは、仕事の流れが自分の実際の作業に合っているかだ。
1つの仕事に絞ること。
記事レビューSkillにSEO・SNS投稿・画像指示・誤字チェック・タイトル10案を全部入れたくなる気持ちは分かる。でも最初のSkillとしては重すぎる。型が大きすぎると、何をするためのSkillなのか分からなくなる。
たたき台
実際のSkillファイルはこんな形になる。
---
name: familyai-article-review
description: FamilyAI向けの記事下書きをレビューするときに使う。「記事レビュー」「下書き確認」「FamilyAI記事チェック」などと言われたら起動する。
---
# FamilyAI記事レビュー
## 使う場面
ユーザーが記事の下書きを渡し、
FamilyAI向けに読みやすくしたいときに使う。
## 確認すること
- 読者はAI初心者として読めるか
- 専門用語が説明なしで出ていないか
- 具体例があるか
- 煽りすぎた表現になっていないか
- 最後に読者が試せる一歩があるか
## やらないこと
- 記事全体を勝手に全面書き換えしない
- 読者を不安にさせる煽り表現を使わない
- 事実確認が必要な内容を断定しない
## 出力
1. 良い点
2. 直した方がいい点
3. 見出しごとの改善案
4. 修正版の導入文を1案
5. 公開前に人間が確認すべき点
これくらいで始めてよい。
Claude Codeに「この内容をClaude Codeで使えるSkill形式に整えてください」と頼めば、frontmatterも含めて整えてくれる。
実際の呼び出し方
Skillを作ったら、descriptionに書いたトリガー言葉で話しかけるだけだ。
この下書きを記事レビューして
FamilyAI記事チェックをお願いします
これだけでSkillが起動する。「どのSkillを使って」と明示しなくていい。
もし起動しない場合は、descriptionにそのトリガー言葉を追加すると解決することが多い。
使う前と使った後

Skillを作る前(毎回プロンプトで説明する)
この記事を読んで、改善点を教えてください。
読者はAI初心者の子育て中の親です。
専門用語はかみ砕いてください。
便利さだけでなく、実務に戻してください。
煽りすぎた表現は弱めてください。
良い点、直す点、導入文の改善案を出してください。
(毎回これを書く)
Skillを作った後(一言で呼び出せる)
この下書きを記事レビューして
指示の中身は同じ。でも、説明は0行になる。 しかも、Skillは毎回同じ観点で動くのでレビューの品質もブレない。
5. 良いSkillの条件
① 入口がはっきりしている
どんなときに使うSkillなのかが明確。
記事の下書きをレビューしたいときに使う
のように、使う場面が一言で言える。
② 出力形式が決まっている
毎回、同じ形で返ってくる。
1. 良い点
2. 直した方がいい点
3. 見出しごとの改善案
4. 修正版の導入文
のように決めておくと、読みやすい。
③ やらないことも書いてある
Claudeは、親切に広げてくれる。 でも、広げすぎると困ることがある。
だから、やらないことも書く。
- 記事全体を書き換えない
- 断定的すぎる表現にしない
- 読者を不安にさせる煽り表現は使わない
- 事実確認が必要な情報は「要確認」と明記する
「してほしいこと」と「しないでほしいこと」の両方を書く。
④ 人間の確認ポイントが残っている
Skillを作ったからといって、全部自動で正解になるわけではない。
だから、最後に確認ポイントを残す。
最後に、公開前に人間が確認すべき点を3つ挙げてください。
この一文があるだけで、使いやすさが変わる。
descriptionが一番大事な理由
Claude Codeは、Skillを3段階で読んでいる。
| 段階 | タイミング | 読む内容 |
|---|---|---|
| L1 | 起動時 | 全Skillのdescriptionだけ |
| L2 | 作業開始時 | そのSkillのSKILL.md本文 |
| L3 | 必要なとき | references/フォルダの中身 |

起動時はまず全Skillのdescriptionだけをざっと読む。
「この仕事に合いそうか」を判断して、合うものを選ぶ。
本文は、選ばれたSkillだけを読む。
だから、Skillをたくさん登録してもClaudeが重くならない。
ただし、トリガーの判断はキーワード一致ではなく意味が近いかどうかで判断される。
descriptionには、「いつ使うか」を、自分が実際に話しかける言葉で書くと精度が上がる。ここが曖昧だと、Skillを作っても呼び出されないことがある。
6. 使いながら育てる
Skillは、作って終わりではない。使いながら育てるものだ。
たとえば、記事レビューSkillを何度か使っていると、こう感じるかもしれない。
「毎回、タイトルの指摘が弱い」
そう思ったら、レビュー観点に追加する。
タイトルは、読者の悩みが入っているかを確認する。
ただし、過度に煽る表現にはしない。
「修正文が少し硬い」と感じたら、トーンを追加する。
修正文は、友人に説明するような自然なです・ます調にする。
「指摘が多すぎて読むのがつらい」と感じたら、出力形式を変える。
改善点は重要度順に最大5つまでに絞る。
毎回Promptを直すのではなく、Skillを直す。これが中級編の考え方だ。
Skill化する前のチェックリスト
| 質問 | Yesなら |
|---|---|
| その作業は何度も繰り返すか | Skill化候補 |
| 毎回同じ説明を書いているか | Skill化候補 |
| 出力形式がだいたい決まっているか | Skill化しやすい |
| チェック観点が決まっているか | Skill化しやすい |
| まだ手順が曖昧か | 先にPromptで何度か試す |
| 一度きりの作業か | Promptで十分 |
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| Skillは手順書 | 毎回の依頼を、再利用できる仕事の型にする |
| 何でもSkillにしない | 繰り返す仕事、出力形式が決まった仕事に向いている |
| Globalは5〜10個まで | 迷ったらProjectに置き、確認できたらGlobalへ |
| 使いながら育てる | 最初から完璧を狙わず、何度も使って直す |

Claude Codeを使っていると、つい「次は何ができるか」に目が向く。
でも、中級で大事なのは、機能を増やすことだけではない。
一度うまくいった仕事を、次も同じ品質でできるようにすること。
その最初の一歩が、Skillだ。
次回は、AIにファイルを触らせるうえで避けて通れないテーマに進む。
Gitを怖がらずにAIと進める方法。
差分を見る。 小さくコミットする。 戻せる状態にしてから、AIに任せる。
Claude Codeを仕事に組み込むなら、ここからが本番だ。